こや

[つまみ読む生活]vol.34 シーズン2制作発表

Column

「おはよう」のあなたも、「こんばんは」なあなたも、こんにちは。第34話です。見たいアニメとドラマを見尽くして、自由時間に本を読む習慣が戻ってまいりました。本を読むと文字を書きたくなる。嬉しいです。今読んでいる本は、村上春樹氏の『回転木馬のデット・ヒート』。彼が人から聞いた話をなるべく忠実に文字に起こしたいくつかの話が収録されています。これは小説、あるいはそうではない何かなのかもしれない……といった内容。

読みながら、私はやはり、なんとでもない人生の話を読むのが1番好きで、そして書くのも好きだったわ、と再確認して、いまサラサラと文字を打ち込んでいます。 

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さて、生きていると、人生の節目を迎えることが幾度かありますよね。「あ、今だな」と思うこともあれば、後から振り返って「あの時そうだったな」と思うこともあるし、本当は大事な節目だったかもしれないことを平気で忘れたりして、古い友人から聞いた話で自分のことなのに「そうだっけ?」となることもある。

私は比較的マメな方なので、20歳の時にこれまでの節目を思いつく限り書き出してみたことがあります。確か15章はありました。その内容といえば、「幼稚園の時に〇〇君にバレンタインチョコをあげた、あれが初恋だったかもしれない」とか「小学3年生の時、大親友が転校してしまった」とか「中学2年生の修学旅行に謎のモテ期を迎えた」とか「高校2年生で読書の世界にハマった」とか「大学1年の時にヤバい奴に出会って恋愛が分からなくなった」とかそんなことと、「何年に入学しどこでバイトをして、何年に卒業した」というような履歴書的な内容とで、かなり細分化されていた。

しかしこの当時の節目とやらを見返すと、これらは私という人間が出来上がっていくまでのグラデーションの中に含まれているエピソードであって、節目というか「点」というか、そういうのではなかったなと思えてきました。

23歳で離婚し、仕事を辞め、実家に戻り、24歳で17年間連れ添った愛犬が死に、契約更新でスマホがまっさらになり、パソコンが壊れこれまたまっさらになり、暇つぶしで断捨離をし捨てるものがなくなり、その全てを終えた時、抱えていたタスクを全て完了してしまったような、全てが0に戻った感覚になった。根本的な人間性は変わってないけれど、今までしがみついていたもの(概念)や考え方がガラリと変わった自覚もあった。

この時、「私の第1シーズン、今終わったな」と、しっくりくる表現がバチンと脳内に浮かび上がってきて、これまでのエピソードはシーズン1の範疇であったと妙に納得したのでした。

そこからまた、静かに月日が流れました。この間に、新しい仕事を始めたという進歩は1つだけあったけれど、前の話でも散々書いてきたように、まあ特に何も起こらぬ2年ほどを過ごしているのがここ最近の私の生活です。

しかしそんな生活を楽しんでもいました。人と深く関わり合わないことで快適な精神状態が続き、好きなものを買い好きなものを見てダラダラと過ごすことに贅沢さを感じていたし、家族との時間も過ごせていて、“今のうちに満喫しておこう”という心意気もあったから。

しかし、暖かくなり始めて、コロナがちょっと落ち着いてきたころ、「この生活、もういいかな」という気持ちがチビチビと湧いてきました。そんな時、サボテンに花が咲いたのです。あまりにも鮮かなピンクの花。見つけた時、大笑いしました。私の人生に、演出家でもいるんですか?

2年前、離婚届を出しに行った帰りに買ったサボテンです。奇抜な形や可愛らしい花が咲いているものが並ぶ中で私が選んだのは、とてもシンプルなもので、図太くてピンと真っ直ぐ生えているだけのサボテンでした。

堂々としていてカッコよかった。当時掲げたテーマ「自立」を具現化したようなそのサボテンに、なんか突然花が咲いた。

びっくりした。花が咲くなんて知らなかったし、買って2年経ってから変化が起こるなんて思ってもみなかったから。1つ咲いたらポンポンと毎日花が増えていき、なんというか、サボテンの先っちょでカーニバルが起こっていた。

そこで私は、「これ、第2シーズンが始まるな」と悟りました。キッカケをくれただけでいいのです。キッカケを待っていたようにも思います。後は自分で何とかせねば、と重い腰を上げて、新たなシーズンの制作を開始しました。

TO BE CONTINUED……!!!!!!!!!!


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「つまみ読む生活」
食べるように読み、吐くように書きます。ここ3年、1年おきに人生がガラッと変わってる。
こや