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Cafe Cajon

35回目となる今回のインタビューは東京都の西にある街、調布市の仙川に2011年に創業した焙煎屋さん、「Cafe Cajon(カフェカホン)」の平村潤雨さんにお聞きしました。

カフェカホンさんは、わたしのまわりでは「美味しい」という話で頻繁にお名前の挙がる焙煎屋さんで、神保町のオトナリ珈琲実店舗でも開店初年度に使用させていただきました。その時の焙煎豆が、好みという意味でわたしの理想に近いものだったため感動して嬉しくなったことをよく覚えています。

わたしは時々焙煎豆を飲んで「よく喋る豆だなぁ」のような感想を持つことがあります。わたしが注視しているのは焙煎人のことなので、平村さんはよく考える方なのかな、などと考えていて、一度お話してみたいと思い今回のインタビューに至りました。

※こちらのインタビューは2023年から2024年にかけてお伺いした内容をまとめたものになります。

インタビュー:しば田ゆき
写真:小池りか

焙煎屋を始めた頃

ーこのお仕事を始めた経緯を教えてください。

前の仕事は実家の仕事の手伝いだったんです。
30歳か31歳くらいの時に辞めて、次やるならコーヒーかなと思っていました。コーヒー自体はその前からずっと飲んでいたので。
それまでは大体2年、3年くらいで新しいことをやっていたので、次やるものはずっと続けられるものにしたいなと思い、それで選んだのがコーヒーでした。
未経験なのもあってなかなかすぐには入れなかったんですけど、とあるコーヒー屋さんに拾ってもらい、そこで働きながらセミナーに行ったり焙煎をやったりしていました。

ー最初に焙煎を始めた時はどういうふうに始めたんですか?

まず最初は本当に焼いてみないとわけわからないと思って、ずうっと家においてあったブラジルの生豆を、「いよいよこいつを焼いてみるか」ってフライパンで焼き始めたんです。
なにも起きずにひたすらただただ黒くなっていき、なんかよくわけわからないけどもうこれでやめるわ。ってやめたのが最初です。
フライパンを50分振り続けました。

ー50分!笑※1

それくらい振り続けて、はぜ※2もなにもなくただただ黒くなっていき、見たことあるくらいの色になってきたからもういいやってなってやめました。

※1.焙煎時間…一般に焙煎時間は1回10〜20分ていどのことが多いです。
※2.はぜ…珈琲豆が「はぜ(爆ぜ)る」。焙煎中に珈琲豆に起きる現象。水分が抜けた豆が「パチパチ」と音を立ててはじけることを指します。

ーそれは飲みましたか?

飲みましたよ。意外とだめじゃなかったはずです。生豆が古すぎてはぜなかったんだと思います。
あと弱火すぎてはぜなかった。ブラジルだし。こうして今思えばはぜなかった理由はたくさんあるんですけど。

それで「焙煎機を触りたいな」となって、珈琲サイフォン株式会社がやっている焙煎教室初級(コーノ式珈琲塾)に行きました。
そこで焙煎を3回くらいして、「なるほど、これは通ってたんじゃ話にならん、焙煎を自分でできる環境を作らないとだめだ」と思いました。
それから焙煎機を探していたら「ジェネカフェ」という電気の焙煎機を見つけました。

実物をみたくてユニオン※3に見に行ったんですよ。そしたら床にディスカバリー※4がどーんって置いてあったんです。
当時ディスカバリーが販売されてまだ1年ちょっとの頃で、「なんだこれ」ってなって。

※3.ユニオン…東京都合羽橋道具街にある喫茶用品専門店。
※4.ディスカバリー…株式会社富士珈機のガス式小型焙煎機。

ー出会っちゃったんですね。笑

予算の4倍以上の値段で、「すごくいいけど、いや絶対無理」って思いながら帰りました。でも頭から離れなくなっちゃって、その結果手を出しちゃいましたね。

焙煎機。日本で1台目のギーセン(左)とディスカバリー(右)

2011年になってそろそろお店開業しないと資金もなくなっちゃうしな、というところで物件を探し始めました。
最寄りがたまたま仙川※5で、多分スペシャルティ自家焙煎店いけるんじゃないかなって思い、仙川で探し始めました。

物件ってそんなにすぐに見つからないじゃないですか。

夏前に探すのが嫌になって、「一回全部やめよう」と思ったんです。それで当時から行ってみたかった中米に、1ヶ月行く感じで計画を始めようかなと思ったんですね。
お店を始めると行けなくなると聞いていたので、物件を探すのをやめてそちらの情報を見始めたんですよ。
物件情報は一切シャットアウトしてたんですけど、7月の下旬くらいに髪切りに行った時にそこのオーナーさんが「そういえばあそこ空いてるらしいですよ」って。
唯一僕が絶ってなかった情報源からこの物件の情報が入ったんです(笑)。

※5.仙川…調布市仙川町。ここでは京王線「仙川駅」を指す。東京都の西側に位置する。

ーおおお。まさかの出会い。

それを見てみたら僕が作った計画書の条件のままの物件でした。広さと家賃と窓があるっていうことと形と。
仙川にすると決めている中で、次この条件の物件が出てくるのはいつだろうと思って契約しました。

農園への訪問・スペシャルティコーヒーの意義

ー中米へ行ったと伺いましたが、それは開業後に行ったんですか?

はい。開業して5年目くらいに行って、計4回行きました。

ー中米へ行った際にはどちらの国へ行くことが多いんですか?

パナマ以外の国は各2回ずつくらい行っています。
グアテマラ、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、ホンジュラスは1回です。

ーいいですね。ご自身が焙煎しているコーヒー豆の生産者さんに会うんですか?

そうですね。それも行きましたし、それ以外の農園にも行きました。

基本的には当時、それまでに使っていた豆を育てている農園を見たいというのがありました。
直近で行ったのがコロナ直前の4年前なのですが、その時にコスタリカのカンデリージャや、ニカラグアとか行ってみたい農園で見ていなかったところへは全部行けました。
コロナ禍が始まってまったく行けなくなったので、最後の最後に行きたいところへ行けてよかったなと思っています。

なので今のところあまり心残りがないです。そろそろ行きたいですが、急いで「あそこまだ行けてないから行きたい」は今はないです。

ー農園は定期的に見に行きたいですか?

そうですね。次にどこへ行きたいかと聞かれたら、これまでに行ったところがどう変わったかを確認しに行きたい気持ちの方が強いです。

毎年生産者はなにかしら新しいことをやっています。現場では今はなにをし始めてるのかなということを知りたいです。
現場がどういうことやっているかっていうのを知り始めると、いかに消費国に情報が流れてくるタイムラグがあるかというのがわかるんですね。
最近アナエロビコ※6が流行っていますけど、アナエロが日本に流通し始めたのって2年3年とかだと思うんですよ。
でも実際トライされていたのは5年も6年も前からで、それが最近流通量や精製のクオリティの安定がはかられてきたから流れてくるようになったという風に見るのが自然です。なので何年後かに消費国に流れてくるものが現地に行けば今見えるわけです。

とはいえ僕はトレンドを追いかけるタイプではないので、「なるほど、今はこういうことにチャレンジされてるのね」というのを知りたいのが先ですね。

※6.アナエロビコ…珈琲豆の精製処理方法のひとつ。英語でアナエロビックとも呼ばれる。

ー農園を見る前と後でなにか変わりますか?

やっぱりバックボーンが全然違いますね。
僕は焙煎豆を「作品」ととらえているところがあります。
同じ焙煎豆を作るにしてもその作品に対してバックボーンが大きければ大きいほどいいものができると思っています。

ー具体的に味がどうなるかという話とは別にして、大切な情報ということでしょうか?

その豆のポテンシャルをより知れるということかもしれないです。
たぶん生豆をみて焙煎をして飲み比べているだけだと味しか見えない。ですけど農園を見ていると、あそこの農園こういう感じの農園だったから、こういう感じの豆だから、もっとこういうことできるんじゃないか?ということが想像できたり。

だから単純に「届いた生豆を焙煎した、こういう焙煎度合いでこういう味になった」だけではないルートで焙煎を考えられると思います。ぼくはそういう使い方をしています。

ーおもしろいです。

それにいろいろな農園を見ておくと全部の農園が違うので、それぞれの違いがわかってきます。

違う中でみんなそれぞれが自分の持っている農園に対して必ず独自の工夫をしている。
豆のスペックだけではわからないことが、現地に行くと見ることができます。

ーそうなんですね。現地での経験を焙煎に生かす方法も色々なんですね。中でも印象に残っている農園はありますか?

僕が勝手に生産者の中で基準にしている農園は、グアテマラの「サンタフェリーサ」ってところなんです。

僕が初めて中米に行った時、最初の国はグアテマラだったんですよ。
最初はウエウエテナンゴっていうメキシコの方に行って、とある農園を訪問しました。
そのあとアンティグアにもどってきた後に行ったのがサンタフェリーサという農園だったんです。そこの農園が一番僕の中で印象にあります。「生産者ってコーヒーに対してこういう熱意を持ってやっているんだな」ということを最初に教えてもらったんです。
あと僕と価値観が似てると勝手に思っています(笑)。そこの農園は唯一2回行っています。

おもしろかったのは、そこの農園はぼくがいった翌年のCOE※7で2位をとって、その翌年優勝したんですよ。
翌年もう一度訪問したら農園が、というか精製所が変わってました。
全く違うものになってました。

「ああCOEで勝つというのは生産者にとってはこういうことなんだ」っていうのを見せてもらいました。

COEで勝つと生活が変わります。
そこは別に元々食べていけてた農園だと思うんですけど、あそこの人たちはクオリティを求めてる人たちなので、それをより追求できる形になっていました。
自分たちのクオリティに自信があるから普通に流れてくる豆でも価格がすごい高くなっています。でもコーヒーにはこうやって取り組まなきゃだめだよなっていうのを教えてもらった農園で、とても印象深いです。

次に中米に行ったときは絶対に行こうと思っています。

現地に行って、スペシャルティの意義というのはわかりました。
スペシャルティっていうクオリティの豆をちゃんと適性な価格で回してあげることで、生産者にとって生活の糧になるということ、それはホンジュラスで実感してきました。

※7.COE…Cup Of Excellence(カップオブエクセレンス)の略称。珈琲豆の品評会。

ーコーヒーを生産している人がちゃんと生活できているということですか?

生活向上に確実につながっているという現状を見てきました。

ホンジュラスでとある集落に行ったときに、ホンジュラス人でロニーさんという人が案内をしてくれたんですね。
その人がおそらく現地でスペシャルティの生産を広げて生活向上に繋げる努力をしているんです。

ロニーさんが生産者にプレゼンする時にモデルケースにしているエルナンさんっていう人がいるんです。
その人はスペシャルティに取り組み始めて2年でCOE2位になったんです。
それまでは車も持っていないような生産者の方だったのですが、それで得た資金で生活や仕事の水準が向上して、生産者のモデルケースになっています。

その時はその人の奥さん名義の豆を買ったんですけど、「こりゃうまいわ」と思って、エルナンさん名義の豆もいつか買いたいなと思って4,5年経ってしまったのですが、昨年ようやく来ました。
エルナンさんのコーヒーは、同じ地域の他の生産者のコーヒーと比べて、完成度が違うという感じがしました。

ー生産者さんがコーヒーを育てて生活ができるということは、当然のようですがとても難しく大切なことですよね。共感します。

お客さんの手に渡ったあとの1杯のコーヒーを想像した焙煎

ー焙煎をする時に味作りのポイントってありますか?

その豆が焼けるぎりぎり深いところまでいくと、豆のポテンシャルを出せるというぼくの考えがあります。

おそらくぼくのコーヒー観は若干古いので、はなから浅めに仕上げる頭がなかったんです。最初の頃はそうしてたかな。

深くしようとしたらいくらでもできるじゃないですか。でも深くすると深煎り特有のフレーバーや、焙煎由来の味が強くなっていきますよね。だからそれをやるとその豆である必要がなくなっちゃうと思うんですよ。
わざわざ選んでその豆を売る必要がなくなっちゃう。その豆である必要を感じられないといけないので。
コンセプトとしてはあまり変わらないのですけど、焙煎の経験とか技術だったりは開業の当時とは違うので、その狙いが今は変わってますけどね。

細かいところはその時その時にぼくの興味が向いているところにフォーカスしてプロファイル※8をいじっているので、その時によります。

※8.焙煎プロファイル…焙煎をする時のガスや温度調整などの一連の流れのことをこのように呼びます。

ープロファイルは都度変わってるということですか?

基本はまったく変わっていないです。
他の人から見たらなにも変わってないんですけど、僕の中では細かく変わっています。

ーそれはお客さんや世の中に合わせて変わっているんですか?それとも自分の中のものですか?

基本的には自分の中の話でしかないですね。

自分が美味しいと思うコーヒーを焼くわけじゃないですか。
ぼくが美味しいと思うコーヒーの条件としては「バランスがよくて飲みやすい」というのが最低条件にあります。
根底にあるのは飲み物として飲みやすいことで、それは今もかわらず味作りの基本形としてあります。豆の個性や特徴が発揮されることの最低条件は、「嫌な味には極力しないこと」なんですよね。
そうすることで、誰が飲んでもそこで「美味しい」の入り口に立てる。そこからのプラスαが「豆の個性が存分に感じられること」で、そこで満足度が高くなるって最近は思います。

ーなるほど。平村さんのお話を聞いているとそれは基本的にお客さんが自分の家で抽出することを前提にしているように聞こえますね。

そうですね。

ー家でいれてのんでほしい豆って具体的にどんな豆なんですか?

どんな人が抽出してもあるていど満足度の高いコーヒーになるのは、「焙煎珈琲豆としてエラーが少ないこと」が前提だと思うんですよ。だから抽出しやすい珈琲豆であるということですね。

ーそれは焙煎で言うと具体的にはどういうことなんですか?

味を悪くしてしまう豆(欠点豆)の混入をできるだけ防ぐことと、焙煎上の「焦げている」とか「生焼け」というエラーがないということ、それだけで抽出の方で負担をかなり減らすことができます。多少雑に淹れても、飲みやすいコーヒーになってくれるんです。

なので焙煎豆において今話した「飲みやすさを担保すること」と「豆の個性が発揮される」、その2点を満たせば満足度はあがるでしょうと思っています。

それと焙煎上のエラーをなくすっていうののひとつは、欠点豆を取り除いて「煎りムラ」をなくすということです。

ー「煎りムラ」ですか?

「煎りムラ」って言ってよく皆さんが想像するのは、焙煎釜から出てきた豆が色んな色があって「煎りムラができちゃった」というものだと思うんですけど、それは煎りムラじゃないんですよ。
ただ欠点豆が入ってますよねという状態です。色がつきづらい欠点豆が混ざっている。
それは結局不快に感じる味に繋がるので取り除きましょうということではあるのですが、僕の言っている「煎りムラ」というのは、ひと粒単位の中での煎りムラです。

ーひと粒単位の煎りムラ?

豆を割ってみた時のひと粒の中での外と中の均一性です。
そのムラがなくなればなくなるほど味としては飲みやすくなるのは間違いないと思います。

ーなるほど。ひと粒の中でも色が同じであるってことも「エラーが少ない」と言えるんですね。

そうですね。

ぼく、「不快に感じる味」という表現をよくするんです。
コーヒー屋をやっていると「酸味が苦手です」とよく言われるじゃないですか。でもコーヒーの良い酸味って決して不快なものじゃないですよね。それを知らない人があまりにも多いです。

なぜみんな「酸味」と言うか考えると、どこかでコーヒーの嫌な味を感じたことがあって、それを「酸っぱい」と感じたんでしょう。
でもそれを具体的に表現した場合に「酸味」じゃない可能性があると思っています。
「えぐみ」とか「しぶみ」とかだったとしても区別できないからひっくるめて「酸味」って言っちゃってるんじゃない?と思うんです。でもそれってどの味かに関わらず、「不快な味」ですよね。
ぼくたちの言うところのコーヒーの「良い酸味」ではないです。
おそらく多くの人の「酸味苦手です」の酸味と、コーヒーの良い酸味は別物になっていると思います。

でもそれを「酸味」と呼ぶと、良い酸味もふくめて「酸味」が嫌われちゃうわけです。
それはよくないなと思ったので「酸味」とは別にことばを作った方がいいなと思っていて、今仮に「不快に感じる味」って呼んでいます。
「不快に感じる味」ってなんなのか具体的にわからないと言われますが、それは簡単です。飲んだときに眉間にしわが寄ったらそれは不快に感じる味が入っています。
その種類を「しぶみ」とか「えぐみ」とか細かく分ける必要はないです。
「不快に感じた」と言えばそれで十分で、その時点でそのコーヒーには「エラーがある」んです。

ー「酸味」ではなく「不快に感じる味」という新しい呼び方を。なるほど、便利な表現な気がします。たしかに「酸味が苦手です」とおっしゃる人の言う「酸味」とわたしたちが良質なコーヒーに対して使う「酸味」は違うものですよね。

たびたび「酸味」と呼ばれる「不快に感じる味」がないように焙煎するのが平村さんの言う「嫌な味がしない」とか「エラーがない」ということで、それをベースにして「個性を発揮する」というのがプラスαや高い満足度を達成するものとしてあるという考え方なんですね。

はい。ぼくがやりたいと思っているのは「珈琲豆を渡した人のところで満足度が高い状態でいること」なので、こちらがやれることといったらそれしかないんです。

焦げでも生焼けでもない状態にしないと満足度が高い状態にならないので、そこを目指さざるを得ない。

でも実はこの1年でベクトルが少し変わりました。
1年前はまだシンプルにぎりぎり深煎りをやってたと思います。
「ぎりぎり深煎り」というのは変わってないんですけど、その内訳、コーヒーの中に込めているものが変わりました。
以前は味の強さを求めてたんですけど、今は全体を求めているので、いれたての時はこういう感じだけど、冷めた時にこういう風になってほしいとか、こういう感じの味バランスで完成してほしいとか、そういうところを狙い始めています。
「前はもっと飲みごたえがあったけど最近は優しくなったね」と思われてもしかたないと思います。

ーたしかに言われてみれば優しくなっていたかも…。先日買って帰ったコーヒーもとても美味しかったです。

パンチという意味では弱くなったと思うんですけど、でも「この1杯を飲む」という意味での1杯全体を通してでの満足度は上がったと思います。

その上でどういう味をしてるといいかという話です。
今もぼくは焙煎をなにかしら細かくいじくってますけど、以前はできるだけ火力をあげてできるだけ短時間でというやり方をしていたところから、段々火力を下げています。
もちろん変化は出ます。出ますけど、どちらかいうと柔らかい印象のコーヒーに変わってきています。それがおそらく飲みやすさと繋がっています。

「気づき」を得る方法

ーどのように平村さんが焙煎技術を手に入れたのかが気になります。開業前にディスカバリーを買ってから家で焙煎の練習をしていたんですか?

はい。当時はyoutubeもないし、参考になる文献もないし、ただ自分が思うように焼いただけでした。回数を重ねただけです。

今もそうですよ。自分がいいと思ったほうに振れていく、それだけです。気づきを持って、「こうしたらどうだろう」「じゃあやってみるか」の繰り返しです。

ーすごい。実践でゼロから少しずつ進んできたということですね。

実は「これくらいならいいんじゃない?」っていうくらいには割とすぐなれちゃんうんですよ。そこから上を目指す時っていうのは他の人の意見を聞かないと難しいと思います。そこは自分で気づけないです。「ここでオッケー」と思ったところあたりで自分より技術が高そうな人に珈琲豆持っていって飲んでもらうと「もっとこうしたらいいんじゃないか」って言われるから、それを取り入れる、取り入れてその後も生かすかどうかはまた考える。

それでこうだったかな、ああだったかなっていうのをひたすらやってます。ずっとそうです。

ー「気づき」や「テーマ」があってなにかを変えるということですよね。そこの「気づき」を獲得するのが難しいのかなと思います。

平村さんはコーヒーを見たり飲んだりして自然に「気づく」んですか?それとも仕事以外のことを見ていて気づきますか?

どちらかいうと外からのなにかというよりは自分で気づきます。自分でコーヒーを飲んでいて、もっとこうだったかな、ああだったかなって。ある時、「あれ、最近こうなってない?」みたいなことに気づくわけです。

たとえば前は火力をすごい当てていて、今はどんどん火力下げているんですけど、なぜ火力下げはじめたのかっていうのはきっかけが明白にあったんです。

ーどんなきっかけですか?

深煎りってクレーター※9があるじゃないですか。あるとき自分の最近の深煎りの豆、クレーター少なくない?って気づいたんです。3,4年前くらい。なんか変えたっけと考えると、たぶんちょっと火力を下げていたんですね。「あれ、これか?」が最初です。

※9.クレーター..主に深煎りの豆に発生する豆の表面が剥げた部分。

ー火力を下げていたのは微調整ていどだったということですか?

微調整ていどで、なんなら意図もしていなかったです。

最初下げてたのは別の理由です。ガスメーターの数字のわりにバーナーの火が高い、みたいな感じだったと思います。

ーよく見ているってことなんですかね?

ふとした瞬間に気づくことが多いです。そこで気づけるか、ですね。それはすごい難しいんだろうなとは思います。

きづいてなにがあったかを自分の中で分析し、実際にそれを取り入れていくとどうなるかを想像して実際やってみるかどうか。例えば取り入れてみて変化が起きたとしても、まぁまぁ長く、2,3ヶ月は様子を見るんですよ。いろんな豆をひと工夫加えた状態で焙煎して、同じように変化が起きればそれはたしかにそうかもしれないけど、1回や2回じゃ偶然かもしれないじゃないですか。確信に変わるまでは2,3ヶ月はかかる。自分の中でも馴染んでいくし、自分が変化に馴染んできたころにまた次の変化に気づくんで、その繰り返しです。

ー新しいことをやってみようという時って、前の状態と比較するわけじゃないですか。それってデータですか?記憶ですか?

データみたいなものはなにも残してないです。記憶です。

ー…記憶力がすごくいいんですか?

いや、エピソード記憶ですよ。印象でおぼえてるから。

ーなんか職人さんとか作家さんっぽいです。

こういうふうになったらいいな、ああなったなったとか、なってないなとか、それだけです。

ーいじわるな質問かもしれないのですが、それって「弟子にしてください」ということがあった時に難しそうですけど、弟子に伝えることはあまり考えてないんですか?

考えてなくはないんですけど、今は若干困っています。

つまり、段々人に伝わらない領域になってきちゃっているんだろうなと思っていて。
それは「誰かに教える時にそこまで伝えられますか」どころの話ではなくて、今焙煎をしている人たちと話をしても合わないと思っていて、だんだん話の合わない人になっていってるなと。
自分の中だけの世界の話になっていってると感じているので、伝わらないんだろうな。たぶん評価軸が独自になりすぎちゃっていて、誰にも伝わらないと思ってやっています。

ただひとつの基準として、「商品としては一回でリピートさせる打率をあげる」というのは変わらずに持っています。なので、「なんでもあり」ということではない。

なのでその点で見ると全然まだまだだと思っていますね。

仕事として珈琲豆を売っていて、それでまだまだこんなもんじゃないなと思ってるからずっとやっている感じです。
ただ、「表現としてやってます」というのは自分としては揺るがないです。

ー表現として。

コーヒーを飲む人へ「自分で歩く方法」を伝えること

ー未来的に珈琲業界がどういう風になるといいなと思っていますか?現状のお考えをお聞きしたいです。

ぼくは消費者のコーヒーに対するリテラシーがもう少し全体的に高まるといいなと思ってます。

ーなるほど。

だから消費者を育てる方にいかないといけないと思ったので、今うちの店のコンセプトがそうなっています。

業界内ではみんな「コーヒー儲からない」って言っているじゃないですか。
それで海外の、たとえばメルボルンとかではバリスタの時給が3000円くらいで、日本もそうならないといけないって言っている。
でもそれならその価値を認めてくれる消費者を育てないとお金もらえなくないですか?と思っています。

ーそう思います。

なので業界内でコーヒーが儲けやすい形になるぞ、という時にやる形は高級路線ではなくて消費者を育てることだと思います。

そういうリテラシーを育てないと、コーヒー屋さんに何千円を出してくれないわけで、コーヒーの「本当の価値」って上がっていかないんですよね。

今、日本のコーヒー焙煎屋さんで技術的に珈琲豆をもっと高く売っていい人たちって山ほどいます。でも結局その値段を付けたとして理解してくれる人が少なすぎるんです。
だからマーケットとして成立しない。だけど多くの人たちが技術に対して真っ当な値段で回していくようになるにはそれを理解してくれるお客さんを増やさなきゃいけない。そんな風に僕は思っているんですね。
だから一般消費者のコーヒーに対するリテラシーをもう少し高くしないと結果業界は良くならないっていうのがぼくの考えです。

今後業界は二極化していくし、高値の方は究極的にマニアな人たちだけで楽しむものになっていくので、悉く解離していくと思います。解離していくっていうのは、一般層の人たちと関係ないものになっていくものですよね。その辺を歩いている人たちに「この(高価な)コーヒー知ってますか?」と聞いても絶対知らない。

ーたしかにそうですね。

だからそういう話に僕は興味がないです。
僕がどこにポジションしようとしてるかっていうと、真ん中なんですよ。真ん中のやや一般よりのところで、入りそびれてる人たちもうち経由で入れるっていうポジションになろうと思って。橋渡し役になろうと思って。
それをやってるお店でもありますね。

ーだからpodcast※10とかもやっているんですね?

そうです。
最初の頃こういうことわかんなかったよね、ということを僕なりに解説しているっていう番組です。

とにかくそういう(コーヒーの入り口に立っている)人たちで、よりコーヒーの第一歩を正しく理解する人たちを増やす。
その人たちが増えると結果業界が良くなるんじゃないかと思っています。それに繋がるんであればなんでもやるかなって。

焙煎についても結果的には自分が気になったこととか気づいてこうしたいなって思ったことをやっているんですが、最終的には焙煎豆のクオリティがあがるということは家でその豆を渡したお客さんが家でいれた時に多少失敗しても「あ、なるほどね」と思ってもらえるものを渡せればその感動が続いていくと思っています。
そうするとちゃんと自分で歩ける人が増えるじゃないですか。そのための活動をしていこうかなって思います。

※10.podcast…平村さんのpodcast「CafeCajon presents ちょうどいいコーヒーの話

ー自分で歩ける人を作る。とても大事なことですよね。
実は私はお店でセミナーをやっているのですが、「自分で歩ける人を作る」という点は、セミナーをやる時にいつも考えているんです。
先ほど拝見したカホンさんでのセミナーの内容の項目を見て、オトナリ珈琲のセミナーに似ているのでとても共感しました。こういうセミナーやってるところって自分以外で初めて見ました。

セミナー等の内容は取材時の内容です。随時ご確認ください

こういう切り口のセミナーって本当にないんですよね。
「コーヒーのいれ方」という内容でレシピ※11を伝えるものになる。大事なのはそこじゃないんですよ。
コーヒーを飲む人、いれる人全員に芯食った情報はなにかを考えて、それを伝えれば判断はその人の勝手でしょって僕は思っています。
その土台を作るのは大変だから、土台を作るからあとは勝手にやってくださいっていうスタイルでやっています。

※11.抽出レシピ…コーヒーを抽出する時の豆の量やお湯の量、注ぐタイミングなどの一連の流れを示したもの。

ちなみにこの4つの要素セミナーっていうのは、「豆の量」と「時間」と「挽き目」と「お湯の温度」で濃さが変わるんですよって言っているだけのセミナーです。
そこをコントロールすることを教えています。それで「コーヒー難しい」っていう先入観を取っ払うだけで全然違うと思うので。

ーわかります。私もそれでお客さんには「結構気楽でいいんだね」って言われることが多いです。

そうそう。ぼくはラーメン屋と一緒だって言ってます。

みんなどんなラーメンが好きとかは自由に決めているけど、コーヒーも同じように好きに決めていいんだと。

ーなるほど、いいですね。

ーわたしが取材をしているお店って、基本的には自分で味がおいしいと思ったところとかスタイルに共感できるなと思ったところなんです。カホンさんももちろんそうなのですが、「もっと多くの人に知られてもいいはずなのに」とか「もっと高くてもいいのに」思うことがよくあるんですよね。

そこもいまいちなところだなって思います。

コーヒーってどこかファッションと繋がってしまっているところがあって、見せ方がうまいところが売れたりするんですよね。

ぼくも「価値ってなんだろう」って考えてた時期がありました。
結果、コーヒーはコーヒーそのもの、コーヒー単体で見た時に本当に価値を見出しにくいものなんだなって思いました。アピールもしにくいんです。
豆を撮っても液体を撮っても映えない。価値がわかりにくい、誤認識されている、だから売りづらい。

それでカフェやコーヒー屋さんがどうやるかというと、別のもので価値をつけるんですよね。
フードや店内空間の感じ、そういうもので価値をつけて来てもらってコーヒーを飲んでもらっているという状況ですよね。

コーヒーだけを目掛けてくる人って相当少ないと思います。
コーヒーに価値を見出している人たちはコーヒーを目掛けてお店に来ますよね。
そういう人たちはフードも空間もそんなに気にしない。だけど現状ではコーヒーを目掛けてコーヒー屋に行く人はほとんどいないです。

だからコーヒーそのものに価値を見出す人がいないと業界としては良くならないと思います。

ーちょっと私には耳が痛い話でもあります。目の前に来てくれた興味のある方たちに、ひとつひとつ丁寧にアピールするしかないんだなということを個人的にも痛感しています。

表情や意図を感じる「表現」としてのコーヒー

ー平村さんはこれまでのお話やご自身の趣味のお話を聞いていても、なにかに取り組む時に「全体をまず構造的にとらえる」ような認識や理解のし方をしているように思います。

ー「まず全体でとらえる」という平村さん特有の視点できいてみたいのですが、店を始めるとなったときに、自分の珈琲屋としての立ち位置は最初どう考えてて、今はどうなんですか?

始める時はまずなりたかっただけです。その時はコーヒー屋のなかでどういう立ち位置になっていこうとかは多分想像できてないですね。やっていくなかで自分の中で今も移り変わっていますし、それは常に考えていくところじゃないですかね。

ー広く知られたいとかより多くの人に飲んでもらいたいとか、高級な豆を仕入れて売りたいみたいな願望はあまりないですか?

もし話題として取り上げられるとしたら、コーヒーとは全然違うところで取り上げられるならすごく嬉しいです。たとえば音楽雑誌に呼ばれました、とかそっちの方が嬉しい。

ー音楽雑誌、ですか?

ミュージシャンの人たちとかクリエイティブな仕事をしている人たちは、絶対コーヒーがあった方がいいと思っているんですよ。
どうせ飲むんだったら良いコーヒーを飲むと作品のクオリティがあがると思ってるんです。
なのでそういう人たちが、「このアルバム作っている時はこのコーヒーが横にあってね」とか。そういう呼ばれ方だったらすごくしたいです。
別のところで広げることが、結果業界にいいことでしょと思います。

最近はそういう気持ちは大きくなっています。
たとえば音楽だけじゃなくて、広くクリエイティブな仕事をする人。
去年配信業やっている方々との交流会みたいなのに行ってきたんですが、たとえばそういう人にもコーヒーっていいよなと思いました。そういうところを含めての音楽や映像、文字、それを実際にやる人を支える人たちとか。

たとえば企画会議するときにコーヒーがあったらいいなと思いますし、そういう意味で役立ててほしいなって去年の暮れに思ったことです。

ーとてもいいですね。

最近の自分のなかでの気づきですが、仮に有名になるとして、自分自身が有名になるというよりは、自分の焙煎豆が評判になってくれた方が嬉しいですね。

ーアーティスト名は知らないけどこの絵のタッチはみたことある、みたいなことってありますよね。

そうそう。曲をよく聴くけど誰かわからないみたいな。

ここでもいいなと思った、ここでもいいと思った、ここでもいいなと思って調べたらすべて同じ人でした、みたいなパターンの方が望んでいます。

ーわたしはお店は人がやるものなので流動的であった方が自然だなという考えで、その時々でお店の味もそうだし態度や考え方が変わることは当然だと思っているんです。
でも多くはそうではなく、変わらない同じ味を出すこと、クレームを出さないみたいなことがより大事にされがちな気がします。
こうしてお話していてすごくいいなぁと思っているのは、平村さんはいつもなにかを考えて変化しているっていうことがいいなと思います。

そうですね。これは個人店だから許されてると思っています。
ビジネスとして大きなサイズのものと、個人店サイズのものでは違うことができるということは線引きしなきゃいけないなと思っていて、大きいところは味が揃っていることが求められますよ。
それが仕事なんです。大きいところと小さいところではやれることが違うし、メリットとして出していくポイントが違っていくんだと思います。

意外と大きな商品開発の現場ではかなり「表現」をやってると思います。
大きな商品ってできる範囲が減ってしまうけれど、その中ではちゃんとやっていると思います。そっちはそっちで役割があると思うんで頑張ってくださいと思います。
ぼくは個人店だからこれでいいけれど、結局大きなサイズになっていくとレシピを守って均一性が大切になります。

それに、ぼくは変化しないでいられるのすごいなと思っちゃいます。
僕もみなさんから「美味しい」と言ってもらえることは嬉しいのですが、それに引っ張られて、その味を維持するということにこだわり過ぎると良くないと考えています。

成長したら変化するものだ、と思っています。良い方に変化をしていれば文句は言われないです。

ーたしかにそうですね。わたしも自分の小さなお店で抽出レシピを便宜的に使いますが、数字は目安であり、そこで起きていることを注視することが大事だということはもう少しきちんと伝えないと誤解が生まれるなということを最近悩んでいます。

そうですね。レシピを守るというのは良いことなんですけど、能動的じゃないですよね。
レシピを変えずに守りますという態度はどちらかというとなにかあったときに「レシピ通りにやりました」という逃げ道を作ってんじゃないのかっていう考え方もできますよね。
それはマイナスをゼロにする行為だと思うんですよ。

それはわりとネガティブじゃないかなとぼくは思っていて。
いやもっと意図的にプラスを積んでいこうぜ、っていうのがぼくの中にはあります。
先日なんの気なしにスタッフの抽出を見ていたら、抽出の前半の過ごし方がぼくと違うんですよ。
でも味には出なくて、整ってるからいいかって思いました。そういうのにはなにも言わないんです。

理由が伴っていればなんでもいいと思っていて。
「なんでこうしたの?」「こうしたかったからです」みたいな狙いがあればOKで、そこでなにか気づけば「そうしたかったんだったらむしろこっちじゃない?」って言ったりできます。
そこになにかしたかったっていう理由があるということがプロの理由だと思うんですよ。
「プロはなにをするにも理由がある、裏付けがある」っていうことだと思うんで、もし「怒られないためにやってます」だとしたらそれはプロの理由じゃないですよね。

それをやっていると結果的に「表現」というものからは離れていっちゃいます。

個人の方は個人の方でせっかくやれることがあるのにやらずにそういうもの、他の基準にあわせたコーヒーにどれだけ近づけられるかというのでやってたらつまらないと思います。
それってその人の表現じゃないじゃないですか。そういう「表情」がないコーヒーには意図なんてこもりようがないです。

ーなるほど、プロの理由、ですか…。
コーヒー屋のプロってどう判断していいのかもよくわからないので、そういうのはひとつ指針になりますね。
平村さんは他のお店に行った時に気にして見ているものはありますか?

本当に厳しい目でいえば「表現」になってるかな、ってことです。
「あなたのコーヒーはどこにあるんですか?」と思うことが多いですね。

「どこかで自分が飲んだコーヒーが美味しかったから」という過去の再現ではなく、変化して成長していく意思がないと表現にはならないじゃないですか。
なにも保証されているわけじゃないのに、やっぱり変わろうとしない人が多いなという気がします。

ー変わることは勇気がいることでもありますね。うまくいけばいくほどそれが難しくなるようにも思います。
最後になりますが、今後やっていきたいこととか今後の方向性とかで考えていることはありますか?

そうですねぇ。
色々あるようでないようでなのですが、もし、お店が大きくなって自分が有名になるってことがあるのだとしたら、さっき言った「コーヒーに興味を持っているけどきっかけを掴み損なってる人たち」が学べる機会をもっと増やしたいです。

ー素敵ですね。
コーヒーの美味しさやおもしろさがもっとちゃんと伝わると、私たちの今後のやり甲斐にも繋がりそうです。今回はお時間をいただきどうもありがとうございました。

平村さんのお話を聞いて、個人的には共感する部分がとても多かったです。作業中の平村さんを拝見すると、なんとなく手を動かしているようにも見えますが、その動きや感覚が長年培ってきた「日々の変化を感じ取ろうとする貪欲な視点」から作られているもののような気がしました。

起きているあらゆるものごとに対して、まず受け取って自分の中で咀嚼して理解し、検討して検証して進むさまは、たしかに簡単には人には伝わりにくそうですが、それは今後も長い時間をかけて熟成されていく美しさなのだと感じます。

焙煎した豆を「作品」と言い切る姿勢とそこに向き合う信頼に足る態度はこれからCafe Cajonさんがどのようになっていくかをますます楽しみにさせてくれるものだなと感じました。

2023年と2024年に2度に渡って長時間に及ぶインタビューにお付き合いくださり、本当にありがとうございました。

Cafe Cajon

東京都調布市若葉町2-1-3 ハイム川原1A

営業時間などお店の詳細はHPよりご覧ください。