原育世さん(殿上湯の嫁)
そこはかつて小さな商店街があった通りだそうです。今もいくつかの個人商店が並ぶ通りを脇に入ると現れる「殿上湯」ののれん。この銭湯に嫁いだ育世さんは銭湯業界では人気のTwitterアカウント「殿上湯の嫁」を運用する女性です。
育世さんは公私で「殿上湯の嫁」をやりながら、子育てをしたりお仕事をしたり、イベントを企画したりなど様々な顔を持つ女性で、家でもコーヒーをいれるからと以前から相談をいただくことがありました。
かねてから彼女の芯の強さと賢さを魅力的に感じていました。色々と聞いてみたいと思い、今回インタビューが実現しました。
インタビュー:しば田ゆき
写真:西野あゆみ
家族ごと地域に
「あそこの育世ちゃん」と呼ばれていた子ども時代
ーまずはいれていただいたコーヒーをいただきます。コーヒーはいつも2杯分ずついれているんですか?
前は母屋でみんなで飲んでいたのですが、今はコロナでみんなで過ごせないので、夫婦ふたり分いれてます。
ー今日の豆はどちらの豆ですか?
百塔珈琲さんの「深いりブレンド」です。
なるべく歩いてすぐ買いに行ける場所がいいなと思っているんです。百塔さんは近場だし、ゆきさん(インタビュアー)と出会ったきっかけのお店なので選びました。
ーありがとうございます(笑)。ご夫婦おふたりとも深煎りが好きなんですか?
そうかもしれないですね。語れるほどわかってはいないですけど。
ードリッパーなど器具のこだわりはありますか?
1番最初のセットでゆきさんにおすすめしていただいたものを買いました。この間見せていただいた円錐のドリッパー(HARIO V60)も気になっているんですが、物をあんまり増やしたくなくて。若いときは割と色々買いたいとかあったんですけど、最近はものを減らしたいんです。
子どもが生まれてから身軽になりたくなった感じがあります。
ーそうなんですね。それはお子さんと関係あるんですかね?
子どもに対しての責任感とかそちらに重みがあるので、それ以外のものは身軽にしたくなってきたのかもしれないです。
ー子育ては大変ですか?
私は時間が取られちゃうことが1番大変だなって思います。もちろん楽しいですけど。自分の時間が取れないとかはもう慣れましたが、やっぱりお店のことが気になりますね。珈琲牛乳フェス※1の時とかも色々手伝いたいのに手伝えないとか、そういう引け目やもどかしさはいつも感じています。そういう時はなるべくツイッターをやるなどして、少しでもできることをと思ってやっています。
でも(子育ては)楽しいですよ。
※1.珈琲牛乳フェス…殿上湯で年に2回開催されるイベント。
ー育世さんはお仕事もやって銭湯もやって子育てもしなきゃいけないし、やることが多いなぁすごいなぁと思っていました。ご家族の様子を見ていると、お子さんがお客さんとお話していたりして素敵だなと思いますが、地域の人との子育ての関係で思うところはありますか?
気持ちとしてはひとりで育てる必要はなくて、基本はみんなで育てたいって思っているんです。でもじゃあ同居してるからといって「おばあちゃんにみてもらえていいね」と思われる反面、小夜子さん(お義母さま)は仕事もあるし忙しいから逆に見てもらうのが申し訳ないと思ってひとりで結構かかえちゃってることも多くて。
自分がこうしたいと思ってるのに、裏腹に「私が私が」ってなってしまっているとこが結構あるんですよね。それもあるときから気づいて反省してなるべく手を離すようにと思っています。私自身も親がクリーニング屋をやっていて近所のおばあちゃんとかに「あそこの育世ちゃん」とか言われて育ってきたんで、そういう感じを娘にもと、意識的にしてるわけではないけど、そういう風にさせているかなとは思います。
保育園に通うようになってからは意外と保育園のお友達がお店に来てくださったり、そこのお母さんとお父さんが地元でお店をやってたりして、そうやって少しずつ殿上湯から縁が広がっていく感じが私はすごい楽しくて、そこに家族が巻き込んでいけたらいいなとなんとなく思っていて。そういうのは楽しいですね。
ー家族ごと地域に。
そうですね。楽しんでますね。ノブくん(育世さんの夫/殿上湯5代目店主)は殿上湯をやるまではあまり「外に外に」という感じじゃなかったんです。
彼のお父さんの和夫さんが保護司さんをやっているのもあって学校や地域に顔が広いんですよ。一緒に歩いてると若い方が「原さん!おつかれさまっす!」って感じで挨拶してきたり、そういうのを見るとさすが和夫さんだなって思います。
ー和夫さん素敵ですよね。私もよくしてもらってありがたく思っています。
ー生活していることと仕事がごっちゃになってることは難しくないですか?
よく言われます。「よくやってんね」とか。
最初は全然大変じゃないよと思っていたんですけど、やっぱ最近大変かもとかも思ってきてて(笑)。いい意味である程度距離を取れるような工夫はしていかないと、休みなく同じ場所にいると新しいものが出てこないなとは思って今後の暮らし方のことも考えていたりします。
殿上湯の嫁になるまで
ーところで育世さんはどちらのご出身ですか?
私は東京都足立区の出身です。
ー育世さんがこちらに嫁いだのはいつですか?
2015年の夏くらいです。
ーイベントがお好きだそうですが、昔から人を集めたりするのが好きな性格なんですか?
そうですね、もともと結構「私の友達と友達くっつけたい!」みたいなタイプでした。笑
みんなで友達になりたい!みたいな。
ーもしかして昔からリーダーとかやっていましたか?
学級委員長やりがちなタイプでしたね。笑
小学校時代は好きじゃないんですけど、自分のこと。すごくいばってました。リーダーだし、ちょっとジャイアン気質なところがありました。
ーめっちゃいいですね。
よくないですよー。
ーそれを経て今こうなってるのが素敵です。
ー育世さんが英語を話しているのをきいたことがありますが、どこかで学んだんですか?
高校2年生の夏から3年生の夏まで1年間だけ留学してたんです。カリフォルニアの田舎の方です。フレズノとかのもうちょっと先にある小さな街なんですけど。
ーそこで人生観が変わったりしましたか?
あぁもう、たぶんあれ行ってなかったらずっとジャイアンのままだったと思います。たとえば新しいクラスになっても割とぱぱっと人に話しかけて友達作ったりしていたタイプだったんです。でもそこは本当にアジア人がひとりもいないようなところだったので、学校で初めて孤独とか、ひとりでランチを食べるとかそういう経験をして、自分の無力さとか人のありがたさとかを初めて感じて。結構辛かったんですよね、3ヶ月間くらい。
ー辛かったのは、全然喋れなくてってことですか?
はい。もともと英語もテストも割とできていたし、英会話も通っていたし喋れると思って行ったら本当になにも通じなくて、びっくりするくらい。それですごい自分に自信がなくなって。人生で挫折したのいつですかって聞かれたらそれが1番ですね。
ーそんなに変わったってことはすごい辛かったでしょうね。
すごい辛かったですね。
ー子どもの頃からまわりに大人もいたしコミュニケーションに困らなかったから友達も簡単に作れたりしたんですかね?
私子どものときすごい大きくて、ずっと1番後ろみたいな感じだったんですよ。身体も大きいし、気も強いし長女だし。高校3年生の夏に日本に帰ってきて担任の先生に「人が変わった」「丸くなったね」って言われて。
ーそれ大人がいわれるやつですよね。笑
はい、「角がとれたね」とか言われて。笑
ーだいぶ若いときに経験しましたね。それはいい経験でしたか?
そうですね。英語力はそんなにつかなかったですけど、人間としては少し成長できました。
ーご実家がクリーニング屋さんというお育ちは、今生活する上でなにかいい経験になっていますか?
母親が必ず家にいてごはん作って待ってるみたいな家ではなかったんです。母はお店に出ていましたし、私も夏休みとか冬休みとかは手伝ったりしてたんですよ。なので今も土日休みじゃないこととかに悲しみを覚えない、というのはあるかもしれない。
サラリーマンでマンション住まいでみたいな育ちをしてた方がいきなりここに来たらびっくりすることがたくさんありそう。リビングに知らない人がいるとか、和夫さんがドア開けっぱなしでお風呂入ってて丸見えとか!笑
でもなんとも思わないのは、ここにいられる理由かもしれません。
ータフ。
鈍感なのかもしれないですね。あんまり気にしないのかも、いろんなこと。
ー育世さんが銭湯で好きな仕事ってなんですか?
番台はやっぱり好きです。もし銭湯の仕事しかしていなかったら、番台はずっとやっていたいかも。
ー番台ですか。番台はなにが楽しいんですか?
なんだろう?こんなお客さん来たな、って見たりとか。ちょっと話をしたりとかもそうだし。
人が行き交うのが好きなのかもしれません。あの人ああいう漫画読むんだ、とか見られたりして。
ー広報(Twitter)をやっていてどんな感覚がありますか?広報は育世さんの本職でもあると思うんですけど。
「ここの雰囲気が伝わるように」っていうのを1番思っているので、あまり単純に「この日にこれやるよー」という告知だけじゃなく、そこにちゃんと雰囲気も必ず伝えるようにとか、情景が伝わるようにしようっていうのは意識してます。
ーそうなんですね。私「殿上湯の嫁」アカウント好きです。有名人ですよね。
あまり顔は出してないんですけど「嫁さんですか?」とか言われて「嫁です」みたいなやりとりはあります。笑
つぶやきっぽいひとことは言わないようにしています。「お客さんいないです」とか言いたいときもあるのですがあまり言わないようにしようって(笑)。そういうことを言いたいときも違う言い方をするようにしています。
ー育世さんは好きな銭湯とかありますか?
最近私が1番好きなのは墨田区の電気湯※2さん。すごい好きです。
※2.電気湯…墨田区にある創業100年を超える銭湯。
ーどんなところが好きなんですか?
お客さんがすごい優しいっていうのが大きくて、あとは広いんですよね。で、余計なものが全然なくて。
変な言い方ですけど、お客さんに媚びてるものがなにも置いてないんです。悪い言い方しちゃうと、うちのこういうの(お子さんの遊びスペース)とかってお客さんのためにちょっと媚びてるものだと思うんですけど、いい意味でそういうものが全然なくて。
ーあぁ、いいですね。なんでそんな良いお客さんが多いんですかね。常連さんが多いんですか?
下町なのかなぁ。常連さんも多い気がします。
私が他の銭湯行くのって殿上湯の定休日の金曜日がメインなんですけど、墨田区は金曜日高齢者の方が無料なんですよね。それでおばあちゃんたちが多いからかもしれない。
ーへぇ行ってみたいです。育世さんはもともと銭湯が好きなんですか?
好きですね。一人暮らしの時も行ったりしていました。
大切にしたいのは銭湯の「建物」だけではない
イベントや企画で作り出す地域の人との関係性
ー殿上湯に嫁いだのが5年前ってことですよね。長く商売をやっているところに嫁ぐっていうのは、すでにあるコミュニティが強そうでとても勇気がいることだなと想像しているのですが、その時の気持ちってどんな感じでしたか?
そう思いますよね。そういう意味ではノブくんのご両親、和夫さんと小夜子さんがウェルカム・オープンみたいな感じの方なんで、それがあったから入れたんだと思います。「狭いコミュニティでやる」、みたいなタイプの銭湯ではなかったんで。
ーなるほど、それでふたりにお会いして変な不安を感じることもなく。
そうですね。自営業育ちなので、商売やっているところにいくっていうのはあまり違和感なかったです。
ーおふたりがご結婚された時に、銭湯を続けていくことを決めたという話をお伺いしました。
私が来たときは住み込みの子が1人と和夫さんと小夜子さんの3人で、ここを掃除したりとかをずっとやってました。ノブくんは手伝っているみたいな感じで、基本的には外で働いていたんですよね。和夫さんたちが体を悪くしたり、設備が悪くなったらもう閉じるしかないかなみたいな雰囲気が家族全体に漂ってたんです。でもよくよく聞いたら本当はやりたいけどひとりではできないから閉めるしかないかな、みたいな話だったので、私銭湯好きだったしこの場所を見て「もったいない」って単純に思って。「だったら一緒にやろう」ってなりました。
ー育世さんがいてこそ、というところも大きかったんでしょうね。
ーノブさんもやりたいことがいっぱいある方だなと思うので、上手にサポートされているなと思いますが、役割分担とかがあるんですか?
彼はアイデアと直感で生きていて、そこの部分では信頼してます。なのでお金のことやスケジュールなど、仕事としてどうやって回していくかみたいな部分をなるべく私が考えるようにしていますね。
ー去年住み込みの方を募集していたかと思いますが、みなさん一緒に暮らしているんですか?
はい、住み込みの人は母屋の方の裏部屋みたいなところに住んでいます。
今住み込みの人は3人で、毎日の掃除と番台をやってくれています。
ただ、みんな夢があってお金節約したくてここに住んでるみたいな人が多いので、あまり長居してもらうというよりは、夢を叶えて飛び出ていって欲しいなと思っています。1〜2年くらいでくるくる変わっていってくれるのが理想的ですね。
ーそれは素敵な考え方です。住み込みもイベントもそうですけど、とても身軽にうごくなぁという印象があります。最近は銭湯のロビー横にバーも作りましたね。
もともとは今年か来年リフォームしたいねって言ってたんですが、さすがにコロナで今じゃないかなぁっていう時に、「でもなにもしないのもちょっと嫌だよね。悲観的になって待つだけも嫌だし」ってなって。コロナの時期にお金かけて動くのもどうだろうっていう意見もあったんですけど、ノブくんはDIYでなるべくコストを掛けずにやれることをやりたいっていうのがあったんで。
ーその前向きなバイタリティがすごい。全部自分でやったんですよね。もともとDIYはお得意なんですか?
全然やったことなかったです。
殿上湯手伝ってくれている男の子と一緒に設計図作って。工具もそのために買ってました。
ー今後あのバーはどのように使っていくんですか?
バーはお酒もそうなんですが、少しずつ食事も出していきたいと思ってます。
ーバーを作ってからお客さんの動きは変わりましたか?
劇的にお客さん増えたとかはないんですけど、お話する機会が増えたのでお客さんとの関わり合いは少しずつ増えた気がします。
やっぱり番台で「ありがとうございました」で終わってすぐ帰っちゃってた人も、1杯飲んでいくと必然的に会話をするじゃないですか。それで初めて知れたこととかもあります。
ー飲みに来る人はみんな殿上湯に興味持ってくれている人なんでしょうか?
そうですね。常連のおじいちゃんおばあちゃんはそんなに使わなくて、やっぱり若い人が土日にお風呂ついでに1杯飲む、みたいなのが多いですね。若い人が増えた感じです。
ーそうなんですね。今若い人たちの間では銭湯が流行っているみたいですね。
私は流行は一過性のものだと思っているので、あまり意識しないようにしています。うちは場所柄もわざわざ電車に乗って来るような銭湯ではないし、地元の人が楽しく来られるようなところだと思っているんです。ここはそういう役割しかできないんじゃないかなとも思ってて、そんなにブームには大きく関わる感じではなさそうです。
ーイベントをやる時に気にしていることってありますか?。
子どもを産んで、子どもとか家族とかに気持ちが向くことが多くなったので、そういう方たちに楽しんでもらえるというのが私の中ではひとつ大きなテーマです。
ー今後やりたいイベントなどはありますか?
私は子どものワークショップみたいなのをやりたくて。リニューアルする時も、お風呂のタイルは子どもたちに絵を描いてもらったものを貼りたいとか、暖簾をみんなで作って「子どもが作った暖簾ウィーク」をやりたいとかあります。自分が作ったものがここにあったりすると嬉しくなるじゃないですか。そういうものができるといいなと私は思っているんですけど、ノブくんにはまだ刺さってないです。笑
こういうのもタイミングなので、きっとそういうのやりたいって賛同してくれる方が現れた時にやればいいかなって思っています。
ーこれまでに印象的だったお客さんはいますか?
まだ私はそんなに番台にずっと座ったりってことはないので思い出せませんが、和夫さんを見ていると、昔やんちゃしてた人が子どもを連れてきたり、人生相談とかを受けてたりしますね。そういうのを見ると、やっぱりこういう場所じゃないといけないよなと思うので、ノブくんとか私が引き継がないといけないよなって思います。
ーいいですね、そういう地域の人との関係性。
はい。それが難しくて。それってちょっと、言ったらおせっかいじゃないとできないと思っていて。私の場合、「たぶんこの人話したくないのかな」とか思うと距離を置いちゃったりしがちなので、そこはもうちょっと鈍感につっこんでいかないと地域のおばちゃんにはなれないなって思っています。
ーおせっかいでプライベートをずけずけふみこんでいかないと。
難しいそれが。
ー銭湯に嫁いだときの心境と今で変わったことはありますか?
基本的にあんまり変わってはいないです。ただ、嫁いだ時はこの「建物」を壊すのがもったいないと思っていたんです。今は「建物」というよりは、このできあがっているコミュニティとかを壊すのがもったいないって思う方が強くなったのは変化かもしれません。逆に言えばこのコミュニティとか出会いとかを他の場所でやってもいいじゃんって思っています。
ーそれは小さく見えて大きな違いですね。そういうのが日々の中から見えてきたんですね。
ノブくんと今後どうしていこうかとか話をしていく上で見えてきたことですかね。
ーということは今後も銭湯として地域のコミュニティをつくるというのがひとつ大きな目標なんでしょうか?
銭湯…。ここがあるので今は銭湯をやりたいんですが、もしなにかあってここがなくなったとしても、別の方法でもこういう関係性を地域のひとと繋ぐというのはできるし、そういうことをやっていきたい。
ーこれからの殿上湯はなにをしていくんでしょうか?
老朽化してきているのでリニューアルしたいのと、水がいいので、小さくてもサウナ作りたいねとか話してます。
ーサウナは一部壊して作るってことですよね。
そうですね。
ただ、リニューアルは外側だけじゃなくて釜など設備の寿命が近づいているので総取り換えになると、めちゃくちゃお金かかるんです。
変えるなら本当覚悟決めて今後ずっとここでやっていける体制を整えなくてはいけないので、「節目」というかなにか大きく変わるタイミングかなと思います。
ーいい感じでブームが追い風になるといいですね。
そうですね。依存する感じではなくて。
ーここで時々「朝湯カフェ」※3をやっている時も、半分くらい若い人だなっていう印象があります。朝湯だからかもしれないですけど。
本当ゆきさんがやってくれださってるおかげで客層が広がったのでありがたいです。
※3.朝湯カフェ…殿上湯の日曜朝湯で不定期に開催される、珈琲牛乳が飲めるイベント。
ー珈琲牛乳フェスもいいですよね。
うちの冠イベントになってるので!
ーいいイベントですよね。自画自賛ですけど。笑
ー客層がいいですよね、誰も怒んないし子どもたくさんいるし平和だし長閑だし、人はいっぱい来てくれるし。またできるようでしたらやりましょう。
殿上湯さんのお風呂はいち銭湯ファンとしてもとても好きです。その理由は明確に言葉にはしにくいのですが、いつも空気がいいなと感じるのです。
今回育世さんのお話を聞いて、これは地域の人たちを巻き込んでみんなで作っている良い空気なんだと思いました。それは育世さんご夫妻だけではなく、その上の代から地域で作ってきた人々との関係やその人たちが感じてきた心地よさからも作られているのだと思います。
お風呂が家にあることが普通になってきた現代、銭湯の良さは別の角度からも評価されるようになっていて、でもしっかりと確かな軸をもって地域と共に歩いている殿上湯さんを支えている育世さんのパワフルさと繊細さを同時に伺えたようなインタビューでした。
今後のリニューアルや新しい動きも楽しみにしています。
ありがとうございました。
殿上湯
東京都北区西ヶ原1丁目20-12
営業時間:16:00〜23:00
日曜朝湯:8:00〜12:00
定休日:金曜日