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kauai hirótomoさん(音楽家・ドラム奏者)

今回のインタビューはドラムやビブラフォンの演奏、作曲等で音楽家として活動中のkauai hirótomoさん(以下河合さん)です。

あだち麗三郎バンドでビブラフォン、東郷清丸や山二つでドラムを演奏したり作曲をする河合さん。多方面に活躍する河合さんがコーヒー好きだと聞き、都内のご自宅へお伺いしました。リノベーションされたアパートは隅々までかわいらしいものが置いてあり、天井が高く陽の光が心地良いです。河合さんのコーヒーへの想いや向き合い方、そして音楽との付き合い方を聞いてきました。

インタビュー:しば田ゆき
写真:小池りか

ー「こだわらないことをこだわる
河合さんのコーヒーとの向き合い方

ー今日はよろしくお願いします。
ー早速ですが、今日の豆はどこの豆ですか?

生豆を買って焙煎してます※1。

※1.生豆を買って焙煎:自宅でコーヒーをいれる人は、通常焙煎されたコーヒー豆を購入することが多く、生豆を購入して自宅で焙煎する人は稀です。

ーええ!まさかの!なにで焙煎してるんですか?

フライパン。生豆はネットで買ってます。値段でしか買ってなくて。たくさん飲むからさぁ。

ーフライパンでやるってことはこれでやるんですか?

うん、IHで。

ーIHで?!IHで焙煎する人聞いたことない…。

すごい大変だよ。フライパンでやるとさ、焙煎もムラが出て。出来た時、青いやつもあれば真っ黒なやつもある。

ー焙煎はいつからやっているんですか?

6年前とか?

ーどうして焙煎をしようと思ったんですか?

豆高くてさ(価格が)。ただし、安いから「焙煎おすすめです」とはあまり言いたくない。珈琲屋さんの豆売れなくなっちゃうなと思って。

ーあはは。優しい。珈琲屋としてはその気持ちだけで充分嬉しいです。ドリッパーは何を使ってるんですか?

これ、メリタ※2。

※2.メリタ:1908年誕生のドイツのコーヒードリッパー。抽出穴がひとつしかないことから、よく比較されるカリタの台形ドリッパーよりも簡単にいれられると言われることが多い。

ー昔からメリタを使っているんですか?

うん、昔は陶器のメリタ使ってた。でも少ししか入んないから。

ー一度にたくさんいれるんですね。

そうそうそう。

ー粉の量は目分量ですか?

うん。
これ、グラインダー※3がしょぼすぎて均一にならないんだよね。グラインダーを振りながら誤魔化しごまかし。やりすぎるとすぐ煮詰まっちゃうし。だから結構薄め。

※3.グラインダー:コーヒー豆を粉砕する機械のこと。

ー見た目も粒の粗さがまちまちで、こう見るとなんか可愛いです。
コーヒーを焙煎するのは面白いからやってるんですか?

いやぁもう最近面白くないね。結構大変なんでね。本当、焙煎機欲しくて。

ーコーヒーいただきます。美味しい。飲みやすいです。いつもコーヒーは味違いますか?

全然違う。

ーそれは特に気にしないんですか?

気にするけど、このグラインダーだしなぁ。

ー今日はどんな出来ですか?

まぁまぁ。

ーもっとおいしくできる時もありますか?

いや、おいしくできる時はない。

ーそうなんだ。笑 コーヒーを飲むようになったのはいつからですか?

コーヒーは18歳とか?…受験勉強だ。あれで飲んでて。そんな美味しいと思ってないけど飲んでた。
「勉強といったらコーヒー」みたいな感じで。

ーなるほど、飲むものだ、みたいな。それがコーヒーを好きだと思ったきっかけですか?

きっかけは世界史のコーヒーハウス※4。あれを見て、人間ってすごいなって。
お店にコーヒーをついでに集まって話するってなんか、人間だなって思って感動した。
これが文化なんだなって。

※4.コーヒーハウス:17世紀イギリスで始まった文化で、コーヒーを飲む喫茶店兼社交場のこと。

ーそれはなんか嬉しいな。私もそれ大好きです。文化ですよね。

なんか徐々に喫茶店が好きになってきて。

ーお気に入りのお店とかはありましたか?

あったあった。名古屋の塩釜口っていうところにある「マンハッタン珈琲」※5っていう店。
そこが、知ってる限り一番の珈琲屋。

※5.マンハッタン珈琲:愛知県名古屋市天白区にあった喫茶店。2018年閉業。

塩釜口は学生街で。マンハッタン珈琲は雰囲気もいいし、マスターもすごい良くて。
押し付けがましくなくて、かなり控えめなマスター。
メニューにはただ「キリマンジャロ」とか「ブレンド」とかそういうざっくりした名前で書いてあるんだけど、飲むともうすごい美味しい。

ー「これがすごく美味しいよ!どん!」って書いてあるわけではないけれど、ちゃんと仕事してるというか。

そうそう。すごい酸味が綺麗で。めちゃくちゃ美味しかった。

ー受験勉強で飲んでた時とは違う感じで飲んでたんですね。

うん、全然違う。コーヒー飲みたさに行ってた。
モーニング食べながらブルータスを読む時間は一生忘れられない。
日曜日になると近所のちびっことおじいちゃんがやってきて、常連が結構ついてて。

ーそこは初めて行った時から素敵だと思ってたんですか?

そう、置いてあるものとかも一個一個良くて。
音楽は、ずっとビブラフォンのジャズがすごいうまく流れてた。マスターがビブラフォン好きみたいで。

ービブラフォンのジャズ!すごい限定的ですね。

そうそう。ビブラフォン聞きながらアイスコーヒーカラカラやるのがすごい好きで。
それでビブラフォン好きになって、ビブラフォン買って。

ーあら、今の活動にも繋がっているんですね。

結構あの時の音を思い浮かべながら(演奏してる)

ー自分でいれるようになったのはいつぐらいからですか?

うーん、20歳とか?グラインダーもその時に買って。

ーすごい。このグラインダーずっと使い続けてるんだ。どうしていれ始めたんでしょうか?

家でもコーヒー飲みたいなと思って。家がずっとメリタを使ってて。
メリタって絶対そんなおいしくできないんだけど、また別のジャンルになるというか。
なんかどうやってもメリタの味になる。穴が一個しかないから、どんな風に入れても一定というか。
メリタのそういう雑さが好きだなって。

コーヒーに向き合うことがあんま好きじゃなくて。

ー面白い。メリタも美味しく作れるとは思いますよ。笑 でも言いたいことはよくわかります。

このメリタの距離感がコーヒーハウスだなって。

ーなるほど。メリタだとちょっと雑にいれてもいいというか、それが許される感じありますね。コーヒーをいれる時間っていうのはどういう時間なんですか?どちらかというと作業みたいな時間ですか?

朝起きて、お湯を沸かしてコーヒーセットして、朝の準備して、わっていれてまた準備して。

ーつまりこう、コーヒーをポタポタといれるゆっくりした時間を楽しむのとはちょっと違うんですね。

うん。カリタ※6使って丁寧に入れるのも嫌いじゃないけど。

※6:カリタ:日本の老舗コーヒー機器メーカー。ここではカリタの台形ドリッパーを指しています。

ーコーヒーは毎日の習慣として飲んでいる感じですか?

ガブガブ飲んじゃう。毎日ずっと飲んでる。なんか飲んでると人間だなって実感できる。
カフェオレも美味しい。モカポット※7で大量に作って。

※7:直火式のコーヒー抽出器具。

河合さんのコーヒー器具

ーあのモカポットすごく大きいですよね。

大きいのは18カップ用、隣の小さいのはビアレッティの古いやつ。
現行のモデルだとここ(コーヒーが出てくる部分)が黒くて。なんかなぁと思って。
調べると初期のやつは全部銀で。古いコーヒー器具屋に行ったら置いてあって買えたっていう。

ーへぇ。器具とかお好きなんですか?

全部好き。カリタばっかりなんだけど。

ー豆の瓶もちゃんと揃ってますね。

焙煎した順に並べてる。

ー飲食店バイトみたい。笑

昔コメダでバイトしてた。
特に名古屋のコメダは街の人が使う感じ。
全然こっちと違う。朝一に必ずくるおじいちゃんとかいて。

ー昔の喫茶店みたいですね。憧れるなぁ。

朝7:00オープンで、早番の時は6:30出勤なんだけどわざと5:30に行って、一人でアイスコーヒー飲んでタバコふかしてた。あとでセコムから連絡きて。笑

ーばれてる。笑

ー昔の喫茶店の雰囲気っていいですよね。地域の人が集まって新聞読む人とかいたりして。
名古屋のコメダ珈琲ってそんな感じなんですね。

日曜日は家族が来たり。コーヒーを出してて、自分も休憩でコーヒー飲んでて、コーヒー中心に回ってんだなって。
コーヒーを回すためにコーヒー飲んでて、何やってるんだろって思った。結構不思議だった。
体にムチ打って働いて。コーヒーってムチなのかなって。

ー河合さん、コーヒー好きなんですね(しみじみ)。

結構好き。距離感はとってるけど。あんまり踏み込まないようにしてる。美味しいコーヒーは飲みたいけど。グラムまで測っちゃうとちょっと違ってくるかな。

ー独特な付き合い方だと思います。人と話していてこういう感じが伝わることってありますか?

周りは割とそういう人が多い。逆にそれが普通になっちゃうから。知らない人に説明するのは気が遠くなるね。

ー私は河合さんの演奏するドラムを見ていて、こだわりの強い人なのかなと思ってたんです。
なのでコーヒーもすごい研究してって感じなのかなと思っていたんですけど、思っていたこだわり方と違いました。

あ、でもこだわらないことをすごいこだわってる

ーうんうん、そういうことなんですよね。今見てて、それがいいなぁと思いました。

この飲み物が「目的」じゃなくて「手段」というか。

…こういうこと話せる機会がなくて、ずっと一人で悶々としてて。
こだわっている人はめちゃくちゃ多いけど、そうじゃないんだよなぁって。

ーすごくよくわかります。河合さんのコーヒーはすごく河合さんの中というか密着した隣にある感じがする。
もう少し直感的で手触りがあると言うか。

ーコーヒーにもしこだわり始めちゃったら何が変わるんですかね?

コーヒー自体にこだわってるアピールするお店や人が苦手な気持ちがあるけど、もし自分がこだわり始めたら案外お金と手間がかかるだけで今までとスタンスは変わらないかも…笑。

沼だなあと思って踏み込めていなかったけど、もっと美味しいコーヒーが飲めるなら嬉しいし、ここまで話した内容も美味しいコーヒーを作れることが前提にないとマンハッタン珈琲に近づけない。笑

あったらいいなっていうのはグラインダーと、焙煎が一定になる方法。
今までの道具でも手間暇かければそれなりのコーヒーができそうだけど、すんげえ大変だと思う。
それちょっとやだなぁとは思ってる。

ーそれは自分の生活の中にいかにしてコーヒーをフィットさせるかというか、どうやって落とし込むかみたいなことを考えてるんですかね。

そうそうそう。それありきだね。だから現状の道具、生活の中にフィットしたこのコーヒーの味には満足できてる。

ーなるほど。

ー河合さんタバコは吸いますか?

うん、吸う。

ータバコとコーヒーって合いますか?一緒に飲みたいとかありますか?

いやあれは共依存というか。コーヒー飲むとソワソワしちゃって、勝手に体が吸いたくなる。コーヒーで勝手上げられて、それに耐えきれなくてタバコで下げるみたいな。

ーそれはよろしくないんですか?

よろしくはないんだと思う。あんまりいい関係ではない。

ー結構タバコもコーヒーも摂る人って「一緒に飲みたい」っていいますよね。

あれは好きって言ってるけど、振り回されてるだけだと思う。

ーこのレコードプレーヤー、コンパクトで可愛いですね。

これかなりいい。オーディオ最近整ってさ。半年くらいかかった。
ヴィンテージだから結構大変で。問題発生しても原因がわかんないみたいな。

ー古いものなんですか?

レコードプレーヤーは日本の80年のやつかな、テクニクスのSL-10。スピーカーが70年代のドイツ、ITT Schaub Lorenzというメーカー。アンプはオランダのPHILIPSで60年代のもの。どれもべらぼうに値段は高くなくて、見た目が気に入ってる。

ー相性とか大丈夫なんでしょうか?

そう、なんかそういう沼があって。でもまぁいいやって。

ミュージシャンもそんなにいい環境で音楽聴ける人いないんだろうな、と思う。
オーディオの本当の大変さがわかった。一般の人ここまで気力ないと思う。
仕組みも難しいし。現代っ子には簡単なワンセット型のいいやつがぽんってあれば生活にフィットするだろうな。

オーディオ沼はかなり底が深いけど、ひたすら調べたり考えたりした後で自分なりの杭を打つことが大切だと思う。
そこに愛が宿る。コーヒーについても同じことを思ってる。

ー自分が音楽と繋がった、と感じることがある河合さん
「音楽と接続する」という感覚とは

ー音楽の話聞きたいんですけど、河合さんが最近やっている東郷清丸さん※8とか山二つ※9とかを見て「幅広いなぁ」と思っています。全然雰囲気違いますよね。
※8.東郷清丸:河合さんがドラムで参加している音楽家。
※9.山二つ:河合さんが参加するバンド。

全然違うよね。でも基本はマルチ。まぁそんなうまくないけど、楽器いっぱい好きで。
そこから派生して清丸さんやったり山二つやったりって感じ。

▽東郷清丸▽
東郷清丸△ – キ・た・い (live_2021)

▽山二つ▽
山二つ – コニカ

ー元々音楽を始めたのって何からですか?

家にキーボードがあって遊んでて、でピアノ習いに行ってみたいな。

ーキーボード触っててピアノに興味持ったんですか?自分からやりたいって言ったってことですか?

うんうん。

ー珍しいですね。ドラムを始めたきっかけはなんですか?

親に連れてかれた和太鼓教室。緩いやつだった。

ーそれが面白かったんですか?

うん。でバンドブームが始まって、じゃあドラムやろって。

ー誰かに憧れがあったとかじゃないんですね。

単に自分のやりたいように。

ー当時聴いている音楽はどういうものでしたか?

当時はASIAN KUNG-FU GENERATION、BUMP OF CHIKEN、そのへん。
その当時から色んな楽器に興味があって、高校に入ってギターもベースも買って、ギターでもベースでもコピーしてた。

ーすごい。それで今はドラムがメインって感じなんですね?

うん。ドラムならかろうじて、ちょこっとうまくやれる。

ー謙虚…。

一番自分が自由がきく楽器。

ー愛知から東京に来たきっかけはなんですか?

一人暮らしをしたくて。実家は名古屋からちょっと離れたところで、どうせ引っ越すなら名古屋じゃなくて東京でもいいんじゃないかなと思って。

ー音楽活動をやっていこうと思ったのはいつですか?

ピアノ奏者のバンド仲間にテレビの撮影についてきて欲しいって言われてついて行ったことがあって。
彼の前に、とても有名で自分の大好きなギタリストの方が録音をしていたんだけど、苦戦して何テイクも何テイクもやってて。
それを見て、「あ、この人でもこうなんだ」って。それでなんかやってみようかなって思った。

ーそれまでは自分にできるとはあんまり思ってなかったんですか?

大丈夫かなぁ、とりあえず仕事を探そうって。だからそれ見て「わぁ…」ってなって。衝撃だった。

ー今やってるのはドラムとビブラフォンですか?

最近ビブラフォン全然触ってない。軸としては作曲家でありたいなと。

ーそうなんですね!

それの派生であくまでサポートをやっているみたいな。作曲をやっていきたいというか、両輪で。

ー奏者だけだと理想と違うんですか?

それでもいいんだけど、まず音楽家として自立していたいというか。

ドラマーとしてドラム叩くんじゃなくて、音楽家としてドラム叩きたい。

ー「kauai hirótomo」でいたいみたいな感じですかね?

うん。

ーその手法が今はメインがドラムになっていて、でも音楽活動としては作曲もして両輪でやっていきたいと。

うん、だから次の曲をもう作らないと。

ー楽しみです。河合さんの曲聴きましたが、また他のも聴きたいと思いました。

▽アルバム「Another  Galaxy」ティザー ▽
kauai hirótomo // Another Galaxy – Teaser Trailer

ーサポートでドラムをやるときにそこに参加するか否かって、自分なりの決め手があったりするんですか?

基本はなんでもやりたい。その「やりたい」に差はあると思うけど、基本何でもやる。誘われたらやる。まだ選ぶ時期じゃないなって思う。

ー自分の好みのじゃない曲とか。好みもありますよね?

ある。好みじゃないやつも好みにするというか。自分が入ることでちょっと自分のやりたいようにやっちゃおうみたいな。あんま声を大にしてはいえないけど。

ーいや、そういうことですよね。私は音楽をみんなで作るというのはそういうことなんだろうなと思っています。

今まで好みじゃないのそんなになかったけど。

ーその感覚って修行っぽい感じですか?

修行もあるし、全部なんかの縁だなって。とりあえずやってみようって。

ー縁がつながって今やってるな、と自分で感じているということですか?

うん。綱渡り。その綱渡りもよく考えてみるといろいろあって、こっち(行かなかった選択肢)は死んで、ただ生き残ったやつが今あるだけだな。手は伸ばしててよかったなって。

ー終着地点とか目標みたいなものを考えたりはしますか?

うーん(悩む)、わかんない。

ーあんまり考えてないですか?

うん。

ー今目の前にあるものや繋がっているご縁を手繰り寄せて繋がっていく、みたいな感じで音楽活動をやっていく感じなのでしょうか。

表面的にはそう思うようにしてて、本当の最終地点はレーベルやって、制作やりたいなって。それは今はまだ考えないようにしているけど。

ー人生はいつも道半ばですからね。
河合さんにとっての音楽のあり方、立ち位置ってどういうものなんですか?

服だな。心の服。

ーそれを着ていると外に出られるってこと?ウキウキしたりするってことですか?

自分の心が変わるなって。

ー演奏者側としてですか?

聴く側として。

ーやる側としては?

やる側。何も考えてないな。うん……何も考えてない。

ー私河合さんがドラム演奏しているの見て、すごくいいなと思ったんです。ドラムが鳴っているというよりは、河合さんが鳴っていると感じたんですよね。それがすごく良かった。

あの時※10はすごい音楽になれたなって。自分が音楽とつながったなって感じた。
細かいところはいっぱいあるんだけど。でもあの時はよかったな。

※10.森永陽実「チュロスちょうだい」

ーそういうのって今あんまり考えずにやってるってことですよね。それってどういうことなんだろう…。

本当、繋がれているというか、うまく接続できたなって。そこに特に考えはないな。ただそれだけだなって。

ーじゃあ例えばこれから先音楽家としてどういう風になっていくかというのは、自分の辿ってきた先にどんなものがあったとしても「自分の音楽人生はこうだったんだな」と思うってことですか?

それは考えたことない。ただ音楽に浸(つか)ってるのが気持ちいい。ただそれやってるだけだなとは。
とにかく面白い音楽とどんどん出会いたいし、それ作っていきたいし、それをずっと求めてるだけ。
振り返ることはないと思う。

ーそれに一番大事なものってなんだと思いますか?大事にしてるものというか。

なんだろう。大事というか大体そういうものは向こうからやってくる。
こっちが意識しようとするわけではなく、それがとつぜん向こうからやってきて、わぁってそれに乗っかって、どんどん予想のつかない方向に行きたいなって。
基本向こうからやってくるから。それにうまく反応して次のものを積み上げていく。

ーなるほど。河合さんにとってはコーヒーの捉え方もきっと似たような感じなんですね。

うん、一応全部そう。オーディオも。一緒な気がする。

ー本当ですね。ただそうだ、ということ。うわぁ、とても哲学的です。
今日は長い時間本当にありがとうございました。今後の活動も楽しみにしています。

私は以前に河合さんのドラムを目の前で見た時、「音が鳴っている」という感覚を覚え、衝撃を受けました。
「ドラムを上手に叩いている」「鍵盤や弦をを鳴らしている」みたいなことではなく、河合さん自体が音になって聴こえているという不思議な感覚で、それに感動したことをよく覚えています。

今回お話を聞いてみて思うのは、コーヒーも河合さんにとってはそのように付き合っているものだということ。
一般的に「こだわる」と言われるこだわり方ではない方法、ややもするとこだわりがないように見える方法かもしれません。
しかしそれはむしろ、よりコーヒーが河合さんと一体になることを可能にする方法、そのような付き合い方に見えました。

ルールを決めること、ものさしを作ること、そういうことは時に必要なことです。
それは便利な「道具」であって、真実はそこにはないということ、この日河合さんとお話して改めて自分の胸に刻み、私もコーヒーに向き合っていこうと思いました。

今後も河合さんの活動から目が離せません。河合さんの活動を皆様もぜひチェックしてください。

kauai hirótomo

1992年生まれの音楽家です。

山二つというバンドを組んでいます。  

あだち麗三郎と美味しい水と東郷清丸ではドラムを演奏しています。

他にもいろいろ…

新旧問わず世界中(特に東欧、ポルトガル、アルゼンチン、ブラジル、アメリカ、太平洋)の音楽が好きです。

オルタナティブ、ジャズ、クラシック、現代音楽、インディー・クラシック、タンゴ、フォーク、ロック、ポップスが特に興味があります。

緑が大好きです。都会が大好きです。この2つが調和したSFちっくな街があったら素敵だろうなと思っています。そんな街を作っていきたいです。

僕は音楽家なので、そんな街で鳴らされる音楽を作っていきます。

kauai hirótomo / Another Galaxy

kauai hirótomo 1stアルバム
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