こや

[つまみ読む生活]vol.5 クッキー缶収集に目覚める

Column

「おはよう」のあなたも、「こんばんは」な、あなたもこんにちは。第5話です。

さて、梅雨が明けたと思ったら、グラデーションもなく真夏がやってきて、毎日瀕死の状態です。精神的には割と元気なのに、全てのやる気が、汗とともに体から流れ落ち、蒸発して消えます。

そうめんしか食べたくないし、本すら読めません。精神的に元気である事と、やる気が出ることは必ずしもイコールの関係でないことが判明した火曜日の23時です。

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先月、思い切ってクッキー缶を買いました。マットな黒に、美しいお花の絵が大きく何輪か描かれいるそれは、ほとんど一目惚れでした。前々からクッキー缶がとっても魅力的であることは知っていたので、あらゆるお店のクッキー缶をチェックしていたのだけど、毎回手を出せなかったのです。

なぜか。それは、クッキー缶を買うことは、お買い物においての優先度が低いから…。

お菓子にお金を使えるほど、私には余裕はなかったし、美味しいクッキーはこの日本にはたくさん安く売っているから…。

しかし、そんな私も転機を迎えたのです。最近、自分の為だけに、少し特別なものを思い切って買ってみる、という行為を許すことにしたんです。

安い服を買って、2,3年で大量に捨てる、みたいなことをやってきて、もうやめようって思ったんです。買い物するときは、しっかり選んで、少し高価でも長く気に入って使える事を第一優先にシフトチェンジしようと決めたんです。

それで、クッキー缶を買ってみたら、なんかすごく幸せな気持ちになったんです。びっくりしました。モノを買わないことは不幸にもならないけど、モノ買うだけで、こんなハッピーになるんだ!と。これはむしろ安くない…?と。

お買い物好きの人からしたら、「なんだこいつ、当たり前のこと言ってる」と思われるかもしれないけど、私にとっては、目から鱗でした。

それから私、クッキー缶、3個買いました。中身のクッキーの消費が全然追いつきません。1缶目には、マニキュアのセットを入れました。2缶目には、もらったお手紙とかメッセージカードとか、入れました。もう、どんどん宝箱が増えて行くんです。たまりません。

数ヶ月前、やっとドリップができるようになり、ブラックコーヒーが飲めるようになってから、毎日夕飯のあと、コーヒーを入れて、クッキー缶をそっと開けて、少しずつクッキーを楽しんでおります。いや〜。幸せ〜。3缶目が空いたら、何を入れようかな〜。………………。

……。浮かばない。アクセサリー入れるには大きすぎるし、メイク道具は手の届くところにそのまま置くし…。え、3缶目で、もうこうなっちゃう感じですか?

クッキー缶に入れるものって意外と難しいこと、今気づきました。普段よく使うものだと、缶に入れちゃうと距離感でちゃうし、どうでもいいもの入れたい訳でもないし、1つのジャンルで入れ切りたいから、多すぎても少なすぎてもダメだしな…。

クッキー缶って、楽しみ方が3段階あって、

①見た目に惚れて、購入し可愛い紙袋を持って歩く

②美しく並べられたクッキーを少しずつ食べる

③特別なものを中に入れて、大切に保管する

じゃないですか!!!!

ここに ④入れるものが見つかるまで、空箱で待機 はあってはならないんです。優雅じゃない!!

3缶目に④は絶対にさせない…。どうしよう。と、半泣きでいたら、お母さんに、

ハンカチ入れたら?と言われました。大正解でした。ハンカチ!!!

そんなお母さんの部屋には、クッキー缶が無数にあります。中身を取材したところ

アロマの精油、作った折り紙、お灸、ハーブティー、布マスク、お守り、栞、箸置き…。

クッキー缶の大先輩でした…。

④を禁じ手としていており、かつ多くモノを持たない私にとって、「クッキー缶道」を歩んでいくのは、かなりの時間がかかりそうだけど、

クッキー缶を手に入れる時=大切なモノがクッキー缶分溜ったということ

だと思うと、なんて素敵な習慣なのだろうか…。長く生きて大切なものを増やしていきたいな〜。

〜後日談〜

私のハンカチコレクションは12枚なのですが、10枚きちんと缶に入れ、

2枚をルーティーンで洗濯するという結果になりました。人生って難しいですねえ。

今回はこの辺で。ごちそうさまでした。

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